ツンデレくんを呼んでみた。
いきなり感じた温もりと柔らかさに、体中の熱が顔に集まってきた。


「な、何……」

「ふは、顔真っ赤」

「……何なの、何がしたいの」

「奈子って、いじめたくなる」

「最低」

「いじめたいほど全部欲しいなんて、おかしいやろ」

「は……?」

「……もう、限界」


中出がじっとあたしを見下ろす。中出の瞳も熱に潤んでいた。


「……嫌なら、拒否って」


そう言うや否や、ぶつかるように唇が重なった。


キスの合間に手首を掴まれて、逃げられない。たぶん、やめる気はない。


あたしも嫌なわけがなかった。


最初たどたどしかった中出からのキスは、いつのまにかうまくなっていた。


どうすればあたしを骨抜きにするかも、どこに吸い付けばあたしが感じるのかも、中出はもう理解していた。


それだけ、あたしは中出に触れられていた。


下唇を甘噛みされて思わず声を漏らしたら、中出が声に出さずに笑っていた。


中出の唇がどんどん下がっていくのを自覚して、ジンジンと体の奥に熱が溜まっていく。


腹や腰に何度も吸い付いて、あたしを逃げられなくする。


身をよじって抵抗するけど、中出がそれを阻止する。


逃がすまいと中出の意思が込められているようだった。


意識が朦朧としてきて、夢なのか現実なのかわからなくなってくる。


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