ツンデレくんを呼んでみた。
「俺からしたら、奈子の方が心配」


中出があたしの耳元に唇を寄せてくる。


「人を心配するより、自分の心配すれば」


耳に中出の唇が触れる。思っていたよりずっと熱くて柔らかくて、あたしはびくりと体を震わせてしまった。


「な、中出……」


思わず体を固くすると、中出が耳を甘噛みしてきた。


「っ!」


ぞくりと体のどこかが疼いた気がした。


その唇が下がって、やがて首に到達するとゆっくりと吸われた。


「ん…………!」


中出にしがみついて、徐々に熱くなる自分を隠そうとした。


唇は鎖骨のあたりまで下がって、時々舌でなぞったり強く吸い付いたりした。


中出の肩に顔を埋めて、唇を噛み締めてその甘い刺激に何とか耐えた。


「なあ、それ感じてるってバレバレだから」


中出があたしを引き剥がす。


あたしの顔を覗き込んで「我慢すんの好きやな」と嘲笑う。


仕方ないじゃないか。我慢しないと自分が自分じゃなくなる気がするのだ。


もはや条件反射というべきか。


「まあ、いっか」


いつのまにか体を組み敷かれて、あたしに馬乗りになる中出と目が合った。


「……あたしが誘ってもその気にならないくせに」

「奈子があからさま過ぎんやろ」

「あたしにどんな誘い方しろってのよ」

「まあ、もう少し恥じらいを持て」


失礼な、と言おうとしたときにはもう唇が重なっていた。


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