ツンデレくんを呼んでみた。
逆転劇
「あのさあ、中出」

「何」

「中出は、赤ちゃん欲しい?」


スマホをいじっていた中出の動きがぴたりと止まった。それからあたしの方を向いた。


「…………何それ」

「いや、よくよく考えたらさ、あたし達って子供作ることしてるじゃん」

「…………」

「まあ、避妊できるから、そんなこと考えなくても、する人はするけどね。ただ欲求を満たすためにしてるんだろうし」

「…………うん」

「ちなみにあたしはね、けっこうたくさん欲しいんだ。うちが4人兄弟だからってのもあると思うけど、できる限り子供いっぱい欲しいの。大変だろうけど」

「金もかかるし」

「うん。だから、今すぐってわけじゃないの。将来結婚したら欲しいなって。で、中出は? 子供嫌い?」

「……別に」


中出がふいとあたしから目を逸らした。


「あら、意外。嫌いかと思ってた」

「別に、嫌いじゃない」

「中出がお父さんになったらどうなるのかなあ。娘にデレデレする姿とか想像できないや」

「……何かあったんけ?」

「え?」

「突然そんな話するなんて」

「いやあ、何かあったかといえばあったんだけど、ないといえばない」

「ふうん」

「最近さ、三ヶ月くらい生理来なくてね」

「……え?」

「あたし達が初めてやったのも三ヶ月前くらいだから、もしかしてって思ったのよ」


中出は何も言わなかったけど、明らかに焦りを顔に滲ませていた。


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