君が為

あれ、でも何で此処に新見さんが?
何時もなら例によって違う所で食べてるのに……。


勿論、芹沢さんの横で……ね。
鬱陶しいから芹沢さんに追い出されちゃったのかな……。


「夜神、新見さんから言伝。『芹沢さんが、大至急来るように』だってさ」


隊士仲間の相田さんが、私に耳打ちする。
それを聞いた私と、思わずして聞いてしまった永倉さんは、顔を見合わせる。


「すみませんが、『承知しました』と“新・見・局・長”に伝えてくれませんか?」


「はいよ、毎度のことだが、良くやるねぇ」


「ははは…っ」


私は敢えて、“新見局長”を彼に聞こえるように強調した。
すると、思った通り。


新見さんからの視線に殺気が籠もり始める。


おぉ、恐い。
流石に局長やるだけあって、殺気の使い方が巧みなんだから。


私は最後の一口を頬張ると、膳を持って立ち上がる。
片づけをパパッと終わらせて、襷を解くと、芹沢さんの居るであろう部屋に向かった。


「芹沢局長、夜神です」


襖越しに芹沢さんの気配を感じる。
相変わらず、彼の纏う雰囲気は煙のようで、掴むに掴めないものだった。


入室の許可を取って、静かに部屋に入る。




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