オタ恋っ!
「僕はね……ーーー」
考えるように話し始めた彼。
川崎くんは鈍感なのか鋭いのかよく分からないけれど、時々痛いところを突いてくる。
私の場合、好きなものがすべてきーたんに結びついてしまうから隠すのが大変だった。
……………
「あ、もう駅だ」
「本当だ。谷ヶ崎さんと話してると時間が短く感じたよ」
「それは一緒に帰る人がいるからでしょ(笑)」
それよりも気になるのは…
「“さん”付けしなくていいのに」
「っえ、いいの」
「うん。その代わり私も呼び捨てにするから」
「わ、わかった」
…動揺してるのだろうか。
可愛く見える。
……………
「じゃあ、私こっちのホームだから。
また明日ね、川崎」
「ま、また明日っ!……谷ヶ崎」
慣れていないのだろうか。
名前の部分だけ妙に小声で。
「あははっ、じゃあね」
また明日、か。
今日偶然会っただけだから
もう明日も会えるのかはわからないけれど。
でも、呼び捨てにするだけで照れる川崎のことを、なぜかもっと知りたいと思った。