二枚








「おい、佐野! 来い。」








不意に呼ばれて、佐野祥子は振り返った。




すると直属の上司の、浜田典雄がいつものやる気の無い目でこちらを向いている。




祥子は「はい。」と短く返事をし、そちらへ向かった。





祥子はいつも、誕生日の贈り物で貰った目覚まし時計で起きるのだが、




今日はあのけたたましい音ではなく、最近買ったばかりの多機能型携帯からのバイブ音に起こされたのだ。





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