私が恋したのは女の子でした。
「う、うん……」

「そっか。いるように見えるんだ。でもね、いないよ」

 苦笑しながらそう話すかえでくん。

 いないのか……。

 でも、そうだよね。

 彼女がいるんだったら、こんな人目のある学食で私と一緒にランチとかしないよね。

「そうなんだ……」

「うん。じゃあさ、今日でも良いかな?」

「きょ、今日!?」

 突然だなぁ。

 でも、サークルに入ったりしていない私に特に予定はない。

「早いうちにレポート終わらせて、テスト勉強に集中したいんだ。ダメ?」

「あ、うん。大丈夫。私も早く終わらせたいし」

「そっか。じゃあ、午後の講義終わったら連絡して。電話が良いかも」

「了解!」

 男の人の部屋に行くなんて、初めてかもしれない。

 ドキドキしながら次の講義に向かう私なのでした。
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