私が恋したのは女の子でした。
 それは、かえでくんに告白すること。

 今日だ。今だ。今しかない。

 友達以上の関係になりたい。

 だから……。

「おまたせ。ミルクとか入れる?」

 コーヒーカップを両手に一つずつ持って部屋に入ってきたかえでくん。

 その彼に、躊躇いなく告げる。

「好き! 私、かえでくんが好き!」

「え、えええ?」

 かえでくんは驚異的なバランス感覚で、コーヒーをこぼしそうになったのを立て直す。

 静かにちゃぶ台までコーヒーカップを運ぶと、私の方を向いた。

「かえでくんが好きなの! だから……」

「ちょっと待って」

 私の言葉を右手で制するかえでくん。

 え……やだ……。もしかして……ダメなの……? 

 あんなに一緒にランチ食べたのに、そんな気はなかったっていうの? 

「ごめん……。僕、その気持ちには応えられないよ」

 あっさりと言い放つ彼に私は絶望するけれど……。

 その言葉の裏にあった真実になんて、私の想像は及ぶはずもなかったのでした。
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