私が恋したのは女の子でした。
彼の告白は衝撃でした。
「うわぁぁぁん!! もう、もう恋なんてしないんだから!!」

 麻里子の部屋で、麻里子と唯の前で大泣きする私。

 とてもじゃないけど、学食とか、人目のあるところではこんなことできない。

 人前では我慢してた感情が一気にあふれ出す。

 二人に経緯を説明したことで、失恋を実感したせいもあるのだけど。

「そんなに好きだったの? その彼のこと」

「何がそんなに良かったの?」

 立て続けに訊かれたって、答えようがない。

 自分でもびっくりしてる。

 こんなに泣くほど、かえでくんのことが好きだったなんて。

 どこが良いのかなんてわからないけど、彼の存在は私の中でかなりの位置を占めていた。

「ぐすん……。もう立ち直れないよ……テスト前なのに」

 私が漏らすと、二人は口々に文句を言った。

「本当にねー。私たちも迷惑なのよ。勉強したいのに」

「なんでテスト前にそういう告白なんてしちゃうかなー。もうちょっと待っておけば夏休みなのに」

 グサグサ突き刺さる正論。

 そうだよ、悪いのは私だよ。

 テスト前に浮かれて告白なんかしちゃう私だよ。
< 28 / 87 >

この作品をシェア

pagetop