私が恋したのは女の子でした。
 思ってもみない言葉。

 え? 私のこと好きなの……? 

 でも、「じゃあどうして?」って疑問がすぐにわいてくる。

「じゃあ、どうして? その好きって気持ちが恋愛感情じゃないってこと?」

 そう詰め寄ると、かえでくんは私の目をじっと見つめた。

 え……何……? 

 そんな苦しそうな表情で見つめないで……。

「そういうことじゃないんだ……。この気持ちが恋愛かそうじゃないかなんて、問題じゃない」

 ちょっと……。

 結局それってどっちなの? 

 かえでくんの「好き」は私の「好き」と違うの? 

 そんなふうに話そらされたら、余計気になるじゃん。

「何が問題なの?」

 そう訊くと、かえでくんはますます表情を歪めた。

 苦しそう……。

 そんなにこれから私に打ち明けようとしてくれることは、大変なことなの? 

 かえでくんにとってつらいことなのかな……? 

 無理しなくて良いのに……。
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