私が恋したのは女の子でした。
 最後のテストが終わった日、私はスーパーに寄って買い物をしてからアパートに向かって歩いていた。

 スーパーは大学からもアパートからも離れているけれど、今日は買い物をしとかないと夕飯に食べるものがない。

 ちょっと帰るのが遅くなって、7月の日が長い時期にしても、辺りは薄暗くなっていた。

 喫茶店でかえでくんと話してから3日が経つ。

 でも、あれから一度も顔を合わせていない。

 友達としては終わりじゃないって言われても、なんだか連絡をとるのが怖かった。

 それはかえでくんも同じなのか、向こうからのメールも一通もなかった。

 このまま何もなかったように離れちゃうのかな……。

 夏休みに入ったら、ますます会う機会もなくなると思う。

 そうして、考え事をしながら歩いていた私の耳に、何か嫌な足音が聞こえてきた。

 私の後ろを歩いているのはわかる。

 だけど、私に追いつきそうになると、足音が止まる。

 え……? もしかして……。
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