私が恋したのは女の子でした。
「ねえ、小テスト範囲、メモった?」

 声はちょっと高め。

 でも、優しそうな雰囲気が出てて、気にならない。

 むしろ好きな声……。

 こんな声で耳元とかで囁かれたら……。

 はっ……いけない、答えなきゃ。

「あ、はい。一応……」

「良かったら見せてくれないかな?」

「はい、良いですよ」

 私は片付けかけたノートをまた広げて、彼に見せる。

「ありがとう。集中できなかったんだ。実を言うと」

 彼は私のノートを見ながら、自分のノートに書き写していく。

 恥ずかしいな。

 見られるってわかってたら、もうちょっと綺麗な字で書いたのに。

「可愛い女の子が隣にいるなんて、意識しちゃってさ……情けないよね」

 ……。

 え? 

 照れ笑いで言うその人に動揺する。

 え? え? え? 

 可愛い女の子? どこに? 
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