私が恋したのは女の子でした。
 そう祈ったそのときだった。

「その子に触るんじゃねえよ、おっさん!」

 少し高めのそんな声が聞こえたかと思うと、なんか変な音が聞こえた。

 身体を少し起こして振り向くと、グレーのパーカーの男は地面にのびていた。

 誰かが男を捕まえて、殴り倒したんだ……!! 

 助けてくれた……!! 

 私はその場に起き上がった。

 転んだときに少し手を擦り剥いて、血が滲んでいたけど、痛みはそれほど感じなかった。

 買い物袋を放り投げて、その助けてくれた人の元へ向かう。
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