私が恋したのは女の子でした。
「かえでくん……!!」

 そう、それはかえでくんだった。

 なんでこの場にいたのかわからないけど、助けてくれたのは事実。

 私がかえでくんに近寄ると同時に、地面に寝っ転がっていたパーカーの男は起き上がって逃げ出していた。

「おい、待てよ!!」

 男を追いかけようとするかえでくんに、私は抱きついた。

「良いの! 追いかけないで! ここにいて!」

 男の行方は気になるし、逃がしちゃいけないとは思うけど……。

 かえでくんだって、危ないから。
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