私が恋したのは女の子でした。
 そうしてその人の唇を奪う。

 私にとって初めてのキス。

 味なんてわからない。

 ただ、柔らかな感触だけが印象的だった。

「ちょっ……何考えてんの!? 言ったでしょ? 僕は……」

 キスを味わう暇もなく、強引にかえでくんが私を突き放した。

 かえでくんは口元を隠して、私から距離をとる。

「だからどうだって言うの!? 私だって好きだよ! かえでくんが好きなんだよ!」

 いつの間にか涙がこぼれていた。

 その理由なんてわからない。

 ストーカーから助けてもらえてほっとしたとか、かえでくんに好きって言われて嬉しかったとか、キスしたのに拒まれたのが悲しかったとか……。

 もしかして、全部かな? 
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