私が恋したのは女の子でした。
 だったら眠いんじゃないかなあ……。

 そうでもないのかな? 

「あ、部屋開けるね。ちょっと待って。自転車置いてから行くから」

 かえでくんはアパートに備え付けの自転車置き場らしき場所に自転車を引いて行く。

 やっぱり、大学生が多いアパートなのかな? 

 駐車場は狭いのに、自転車置き場は屋根もちゃんとあるから。

 私のアパートも入居者のほとんどが学生だって話だった。

 大家さんと話したから間違いない。

「ごめんねー。じゃ、行こうか」

 さりげなく手をとるかえでくんは天然なんだろうか。

 手を握られて私は、ドキドキしている。

 身体は女の子だと言っても、私には男の子でしかなくて……。

 高鳴る鼓動を気付かれたくなくて、無理にでも話題を作ってかえでくんに話しかける私でした。
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