私が恋したのは女の子でした。
 取りつく島もない態度。

 私は黙って荷物をとり、その場を立ち去った。

 振り返ることはできなかった。

 唇を噛み締めて、いろんな感情をこらえた。

 アパートを出るまでは我慢した涙が、道に出た途端、あふれ出た。

 口に手を当て、声を殺して泣いた。

 泣きながら帰る道は、来るときよりも遠く感じられた。

 きっとこれは私が悪いのだ。

 こうなったのは全て私が悪いのだ。

 そんなふうにしか考えられない私がそこにいたのでした。
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