私が恋したのは女の子でした。
彼の悩みは深刻でした。
 残りの夏休みはとても長く感じられた。

 大学生の夏休みは確かに高校生までよりは長いけど……。

 勿論、そんなことだけが理由じゃない。

 かえでくんに会えない夏休み。

 会えるわけがない。

 あんなふうに拒絶されたら、仲直りとかそういう問題じゃない気がして……。

 暇を持て余した私は、バイトを探した。

 しかし、既に夏休みに入ってからでは、バイトもなかなか見つからなかった。

 休みにわざわざ会って遊ぶような友達もいない私はただただ一人の時間を積み重ねた。

 それでも、かえでくんとの問題についてはお手上げ状態だった。

 メールや電話で連絡もとらなかったし、向こうからも来ることはなかった。

 どう解決したら良いのかもわからないまま、長い夏休みは終わった。

 そして、休み明け、久しぶりの講義に出る日の朝。

 うんざりするような暑さの残りを感じながら、大学への道を歩いていたときだった。
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