私が恋したのは女の子でした。
 講義室の椅子から立ち上がって、晴れやかな顔でかえでくんが言った。
 
 その態度の豹変ぶりに面食らってしまう。
 
「え……?」
 
「ごめんね。こんな欠陥野郎に好かれたって汚点なだけだろうし」
 
「そんなことない! そんなことないよ!」
 
「僕なんかと付き合うのは時間の無駄だよね」
 
「そんなことないったら!」
 
 かえでくんは私のことなんてなんとも思ってないんだと思ってた。
 
 私ばっかりかえでくんのことが好きで……。
 
 でも、そうじゃないんだってわかった瞬間、
こんな形で別れることになるなんて嫌だ……!! 
< 77 / 87 >

この作品をシェア

pagetop