私が恋したのは女の子でした。
「好きだよ、かえでくん。かえでくんが好きだよ」
 
 静かに声を落として言った。
 
 それでも、かえでくんの耳には届いてるって信じてる。
 
「あのときはごめんね……。
何がかえでくんにとってNGなのか、
ちゃんと分かってなかったから……」
 
 かえでくんのことが知りたい。
 
 ちゃんと理解して、それでも好きでいたい。
 
「分かりたいよ、かえでくんのこと。教えてよ、かえでくん」
 
 そして……私のことも知ってほしい。
 
 そんな願いを込めて。
 
 かえでくんは言葉もなく、私の目を見つめていた。
 
 息もできないくらいの緊張に、私の心臓はうるさく高鳴っていたのでした。
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