私が恋したのは女の子でした。
「上がって。何か飲む?」
 
 なんで私はかえでくんのアパートにいるんだろう? 
 
 今日の講義はもう終わったけど、その分時間は遅い。
 
 遅いと言ってもまだ18時台だけど、10月ではもう辺りは暗くなっている。
 
 こんな時間に男の人の部屋に来て何もないわけがない。
 
 だけど……かえでくんは……。
 
「あ、気を遣わないで。お邪魔します」
 
 今日はかえでくんに会うとは思ってなかったから、普段着で……。
 
 キス以上の事態になったらどうしようって心配は、無駄なものかな? 
 
 相変わらず片付いた部屋……というより、ほとんど何もない。
 
 ただ、部屋の隅にホコリや髪の毛がたまってるのは、男の人っぽいなと感じてしまう。
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