私が恋したのは女の子でした。
「あかりちゃん」
 
 かけられた声に、かえでくんを見上げると、ぎゅっと抱きしめられた。
 
 突然のことに言葉が出ない。
 
 かえでくん……。
 
 わからないよ、かえでくん。
 
 かえでくんにとって、私ってどういう存在なの……? 
 
「キスして良い?」
 
 そんなことを訊かれるから、黙ってうなずく。
 
 すると、ゆっくり確かめるようなキスをされた。
 
 唇からドキドキが広がる。
 
 どうしよう……。
 
 背中に回ったかえでくんの手が、ゆっくりと私の身体をなぞって胸の辺りに……。
 
 反射的に身体がびくっと震えた。
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