私が恋したのは女の子でした。
「嫌……?」
 
 そんなふうに訊かれると、困る……。
 
 でも、私は返事をした。
 
「嫌じゃないよ。触っても、良いよ」
 
 緊張感はすごいけど、ここで拒否しちゃいけない気がした。
 
 私の胸に乗るかえでくんの手に、そっと自分の手を重ねた。
 
「女の子の胸ってずるい。ドキドキしてるのかどうかわかんないもん」
 
 そんなふうにかえでくんが言うから、ちょっと不思議な気持ちになる。
 
 かえでくんだって……身体は……。
 
「僕のも触ってみる?」
 
 私がどんな表情をしたのかはわからない。
 
 だけど、私の顔を見て、かえでくんは言ったんだ。
 
 かえでくんの身体に触れる、それは私にとって未知の世界なのでした。
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