私が恋したのは女の子でした。
 直接お腹の辺りをまさぐるかえでくんの手に、ゾクゾクとする不思議な感覚……。
 
 なんだか自分の声じゃないような、甘さを帯びた声が自然に漏れる。
 
 ゆっくりと着ているものを脱がされ、素肌の私がかえでくんの目に晒される。
 
 私が身にまとうのは、ショーツただ一枚だけになった。
 
「可愛い……」
 
 そう言って、かえでくんが私の肌を、一つ一つ確かめるように触れていく。
 
 こんなふうに誰かに身体を触られるのは初めて……。
 
 異性にも、同性にも、こんなえっちなことはされたことがない。
 
「恥ずかしいよ、かえでくんはまだ服着てるのに」
 
 私がそう口にすると、かえでくんは少し暗い表情になった。
 
「僕の身体なんて、見たい?」
 
 そう問われるとなんだか怖くなるけれど……静かにうなずく私がそこにいたのでした。
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