コイスルハナビラ SAKURA
第1話『Wish』
「ううっ……ぐすっ……涼ちゃ~ん!」
よく晴れた青空の下、あたしの泣き声が響き渡る。
校庭にいる者の視線が、一斉に集まるのがわかる。
「バ、バカ、さくら! 泣くなや!」
涼ちゃんと呼ばれた彼は、慌ててあたしを抱き寄せた。
「だって……だって……」
『涼ちゃん』こと瀧川 涼介(たきがわ りょうすけ)は、あたしを抱きしめていた腕を緩めると、ツンと跳ねさせた髪を無造作にかいた。
それは、困った時の涼ちゃんの癖だということを、あたしは知っている。
「だって……涼ちゃんと……もう、毎日会えなくなるぅ……う~」
「あんな~、さくら……」
涼ちゃんは、あきれた様にあたしを見た。