コイスルハナビラ SAKURA
「ごめんね……さくら」
麻紀ちゃんはひとしきり笑ったあと、涙を拭うと、あたしに謝ってきた。
「私、ちょっと無神経だった……」
「そんなことないっ!」
あたしは、激しく頭を振った。
「麻紀ちゃんは、あたしのために色々してくれたもん!」
あたしは、正面から麻紀ちゃんを見つめた。
「逆に、あたしの方がごめんね……」
「さくら……」
あたしたちの間に、穏やかな風が流れていく。
良かった……
涼ちゃんに続いて、麻紀ちゃんまで失うことになったら、あたしはもう……
……ん?
……涼ちゃん?
今回のことって……
全部、涼ちゃんが悪いんじゃん?
涼ちゃんが、あんなことしなければ……
こんなことには、ならなかったんじゃん!
そう思うと、次第に腹が立ってきた。
あたしは、空を見上げた。
「涼介の、ばかやろーっ!!」
あたしの声は、雲一つない空に吸い込まれていく。