コイスルハナビラ SAKURA
第9話『CAT'S EYE』
「ここよっ!」
麻紀ちゃんに案内された先。
若林さんのお店。
それは、レストラン街の一角にあった。
石造りのお城みたいなそのお店は、遊園地のイメージにピッタリだった。
あたしたちは、入り口の大きな扉を押し開ける。
重厚そうに見えた扉だったけど、力はあまり入れなくても開いてくれた。
「わぁ~……」
高い天井、ステンドグラスの窓、あちこちに置かれた観葉植物、そこから顔をのぞかせ、じゃれあっている人形の動物たち。
そして、何より驚きなのは、壁一面に描かれた森の中の絵。
その絵の中に描かれている滝からは、実際に水が流れ落ちていたんだ。
流れ落ちるその水はしぶきを上げ、店内の照明を屈折させる。
滝の周りには、綺麗な虹が浮かび上がっていた。
「すごい……」
その幻想的な空間に、思わずあたしの口から溜め息みたいな声が漏れた。