コイスルハナビラ SAKURA
「……」
あたしは言われた通り素直に更衣室に入ると、壁に掛けてある大きな鏡の前に立つ。
そこに写ったのは、ふかふかで大きなパンダの体。
そして、そこからピョコンとのぞく、小さなあたしの頭。
「あ……可愛い……かも……」
あたしは横を向いたり、右手を顔の横に持っていったりと、様々なポーズを取ってみた。
「わ~、丸くてちっちゃいシッポが付いてる~!」
あたしは喜びの声を上げた。
「……やっぱりね」
不意に聞こえてきた声に、思わずビクッとするあたし。
右手を顔の横に付けたままのポーズで、あたしはゆっくりと振り返った。
そこには、イタズラな笑顔を浮かべた麻紀ちゃんが立っている。
「決まりね!」
麻紀ちゃんのその言葉に、あたしはうなずくことしか出来なかった……