コイスルハナビラ SAKURA
そして、猫さんは木の葉が舞い降りるかのように、ふわりと着地を決める。

すぐさまクルリと振り返ると、女の子の元へ小走りで近付いていった。


女の子の元にたどり着いた猫さんは、片膝を付くと風船を手渡した。


「ありがと、猫たん!」


その言葉を合図に、停止していたあたしたちの時は再び動き出した。


巻き起こる歓声。

嵐のような拍手。


……というのは

少し大げさかもしれないけど……


でも、とにかく、たくさんの人たちがその光景を見ていたんだ。


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