コイスルハナビラ SAKURA

「あたし……帰る……」


あたしは力無くつぶやくと、床に落ちた鞄を拾い上げた。

もう、この場にいたくなかった。

2人の顔なんか、見たくなかった。




あたしは靴をはくと、玄関を飛び出した。

外は、雨が本格的に降り出している。

それでも、あたしは構わなかった。

この空間にいるくらいなら、冷たい雨にうたれている方が何倍も楽だったから……



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