コイスルハナビラ SAKURA
第6話『HOME』
「さくら、急いでっ!!」
麻紀ちゃんが声を張り上げる。
「う、うんっ!」
あたしは短く返事をしながら、駅の階段を駆け上がった。
その両手には、それぞれバッグが握られている。
このバッグが、なかなかくせ者なんだ。
5日分の着替えとか、生活に必要な物が入ってるバッグは結構な重さになっている。
か弱いあたしは、腕が千切れるんじゃないかと思うくらいだったんだ。
「ま……麻紀ちゃん……早い……」
麻紀ちゃんも、あたしと同じくらいのバッグを持っているのに、何故か麻紀ちゃんとの差がどんどん開いていく。
「じ……実家が……お米屋さん……だから……かな……」