コイスルハナビラ SAKURA
近くの景色が、凄い勢いで後ろに流れていく。

遠ざかっていく故郷を、あたしはぼんやりと眺めていた。

あたしと麻紀ちゃんは、今、新幹線の中にいる。


この流れていく景色と一緒に……

涼ちゃんへの想いも流れていけばいいのに……


窓の外を眺めながら、あたしはため息をついた。


「あ……あ~、さくら! 予定してた新幹線に乗れて良かったねぇ!」


そんなあたしに気を遣ってなのか、麻紀ちゃんは一際明るい声で話しかけてきた。


「おばさまが、車で送ってくれたから間に合ったのよね! ……後でお礼言っといてね」


そう、あたしのお母さんが、2人を駅まで送ってくれたんだ。

最初は自転車で駅に行くつもりだったんだけど、それじゃ新幹線の時刻に間に合わないからって。

お母さんは、あたしたちが車から降りる時に


「頑張りんさいよ!」


って、言ってくれた。


お母さんの期待に応えるためにも……

誘ってくれた麻紀ちゃんに応える意味でも……

あたしは、この旅で何かを見つけたいと思う。


これから先……

何があるかわからないけど……


……って、ん?


これから……先?


……あっ!!


「あ……あの~、麻紀ちゃん……」

「ん?」


恐る恐るという感じで、あたしは麻紀ちゃんに切り出した。


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