解離「声」同一性障害
リビングに降りてくると、既にそこには朝食が用意されていた。
美味しそうではあるけれど、愛情という欠片は、もはや無さそうだ。


「おはようございます。お義父さん、お義母さん」

いつもの笑顔と挨拶。
みんなは自然と出てくるものだと思うけれど、
私はかなり意識している方だと思う。
....なんとなくだけれど。

「今朝は遅かったようだけれど、どうしたの?」
「すみません。ちょっと今日の準備をしていて。」

ガシャン!!

ガラス製品という名の皿が割れた音がした。
あぁ、耳障りな雑音(ノイズ)がまた。
すると、その直後に私の体がぶっ飛んだ。

そして何秒か後に頭に激痛が走る。

「お前は、いつになったら分かるんだ?物事は早く済ませろとなんだも言っているだろうが!」

「ごめんなさい。」

ここは小説とかドラマとかだと母親が止めてくれるはずだ。
でも現実は、そんな甘いもんじゃない。

「そうよ。あなた私立中学の受験に落ちたのよ!?
あなたは私たちの家の後継なんだから!少しでも劣ったら汚れるのよ。」

あぁ、本当にもうやめてほしい。でも何も言えない自分が一番嫌だ。
でも言い返すことが、どうし出来ないんだよね。
だって、怖いから。
今この瞬間に地震とかが起きたら大変なことになってしまうように
この瞬間で自分がどうなってしまうかが分からないから怖いんだ。
もし逆らったりしたら自分が死んじゃうんじゃないかって。
でも死ぬということが分からないから、そのほうの恐怖心の方が、もっと怖い。

「....本当にごめんなさい。」

< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop