解離「声」同一性障害
しばらくしして私はすべての準備を整えた。

「いってきます。」

行ってらっしゃいの言葉なんて多分聞いたのは、かなり前だと思う。
その代わりにいつもかかってくる言葉は

「今日は、塾と家庭教師があるから、早めに帰ってくるのよ」

嫌だな...。
今私は一応親戚の家に住ませてもらっている。
今思えば施設の生活の方がよかったかもしれない。
住み始めた時には後継になるわで大変。
本当に毎日が窮屈で、明日なんて来ないようにと毎日祈っている。
でも、そろそろ、いや、かなり前からだけど
こんなことしたって無駄なんだってことが分かってしまった。
だって、何も変わることなんてないから。

でも、この先に彼に出会って人生が変わった。

初めて楽しいと思えた。
初めて悲しいと思えた。
初めて恋をした。

そして





「はじめて、解離性同一性障害というものを知ったのだ。」

それは惨めな私と綺麗な「声」と「解離性同一性障害」を持つ彼の
そんなお話。
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