world end after tale
私には常識というネジが足りなかったのだ。
「いや…違うか……きっと私は人じゃなかったんだ…」
「それって…?」
いや、これ以上は…
「…いや、いい。もう寝よう」
私は一方的に会話を終わらすと、目を閉じた。





私は静かに目を開けた。
空はぼんやりと光に染まりつつあった。
夜が明けたのだ。
私は隣に寝ている男を見た。
まだ起きる気配は無い。
遠くに見える町はまだ起きてはいないようだ。
証拠に煙を上げている家は無い。
私はジャックの胸に手をあてた。
鼓動が手に伝わる。
「生きて…いるんだな…」
そんな当たり前の事を…私は呟いていた…。

町に着くと私は先ず馬車を探した。
この町からは道がある程度整備されているため、徒歩よりも馬車を使った方が早い。
馬車小屋はすぐに見つかった。

馬車を手に入れて2日目、奴隷は「ひゃあ」と情けない声を上げた。
仕方なく私は馬車の扉を開け外に出る。
面倒な事に遭遇した。
ジャックも連れ添って外に出る。
「!」
声をあげずに驚くジャック。
私達の眼前には一匹のアサルトケルベロスがいた。
しかし、ケルベロスの十メートルを超える巨体と強靭な脚力ならば一瞬で此方に突っ込んで来るだろう。
私は呪印を描く。
アサルトケルベロスには魔法の類いは効果が出ずらいが槍を持っていないので仕方がない。
最上級の雷魔法で対抗する。
「ラ・イム」
私の呪印が解き放たれた瞬間、アサルトケルベロスはまるで今までそこに居たのが嘘の様に消えた。
「え!?」
ジャックは何が起きたのか理解不能らしい。
私は説明する気もなく馬車に戻る。
つられてジャックも馬車に入ってきた。
「おい」
私が言うと奴隷は「はっ、はい」とかなり脅えた声をあげ馬車を再び走らせた。
暫くしてジャックが口を開いた。
「さっきのはどういった魔法なんですか?」
「みたまんまだ…」
「みたまんまって…」
困ったように顔をかく。
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