world end after tale
「気付いていたんですか」
「当たり前だ」
「そうですよね…あなたがトドィスの…」
「止めろ」
私は彼の話を止めた。
理由は只ひとつ。
不快。
私は彼の胸ぐらを掴んだ。
怯えた表情を見せる彼。
「私はその話が大嫌いだ」
そう言って突き飛ばした。
彼は尻餅をつき、床がギシリと音を立てた。
「す…済みません…」
謝る彼。
「何故、ラグナロクを…私を知りたがる」
核心を突いた質問に彼は戸惑いの表情を浮かべた。
だが直ぐに決心したように言った。
「フォルセス・ドリアード。僕はラグナロクで両親を失いました。でも、それは私にとって幸運でした。両親は僕を奴隷としか思っていなかった。…どうして女に生まれなかった。そうすれば売りさばけたのにと言って毎日僕を殴りました。だから、僕は貴方に感謝しています。救って頂いて…でも、あんな人たちでも僕の両親だったんです。だから、知りたいと思いました。貴方のこと。それから、ラグナロクのこと…」
彼が話終わると部屋は静寂に満たされた。
彼は私の言葉を待っていた。
私に何かを語れと促す目線。
何かを言ってくれと懇願する思考。
私は煙を吸い込んだ。

思考が廻る。
「そうか」
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