甘い心はあなた一色
よし、あと三段だ。
「……っきゃっ!」
「うわっ、あぶねー」
階段を踏み外したあたしは、そのまま彼方の胸にダイブ。
「……いたた、彼方ごめん」
「気をつけろよ、バカ」
ううう。ごめんなさい、そそっかしくて。
「もうっ紗英子、気をつけなさい!彼方くんごめんなさいね」
あたし達の様子を見ていたらしいお母さんが、困った顔で歩いてくる。
「だ、だからごめんってば」
「――いいよ。ケガなかったなら」