甘い心はあなた一色
「紗英子の考えは見え見えなんだよ」
「え……」
「隠し事には不向きよね」
美知、そこ横やり入れないでください!
「んま、そこが紗英子のいいところよ。ねぇ?」
「あ?……あぁ」
美知に問いかけられて、彼方は曖昧に返事をする。
なんだその生ぬるい返事。
「……いいよ別に。無理に同意してくれなくても」
彼方に認められたいわけじゃないもん。
「いや、俺は別に……」
「美知、移動教室行こー」
「えっあ、うん」
彼方の言葉を遮って、教室を出る。