甘い心はあなた一色
ぎゅっと織くんがあたしの左手を握って、ブレスレットが揺れた。
「だけど、なに?」
「多部先輩は、紗英子さんのこと……」
彼方があたしのことを、なに?
真剣な顔の織くんが、そこまで言ってすぐに笑顔になった。
「……織くん?」
「いや、ごめん。何でもない」
「え?でも……」
「何でもないから」
にっこりと笑う織くんに、あたしも微笑んだ。
何だか気になっちゃったけど、織くんが笑ってくれるならいいかなぁーなんてね。