甘い心はあなた一色
『好きだよ、紗英子』
それってそれって!
「まま、待って彼方!」
あたしを包む腕をといて、彼方を見る。
「どうした、紗英子」
「あたしも彼方が好きだよ?だけど……」
だけどね、違うんだよ。
彼方に対する好きは――。
「わかってる。緒方が好きなんだろ?」
「う、うん。そうだけど……」
「わかってるから、言ったんだ」
「え?」
なにそれどういうこと?
眉をひそめるあたしの頭を、彼方が撫でた。