甘い心はあなた一色




「織く、」



「んなこと言わなくても、いなくなるから心配すんなよ」



じゃあなーと手を上げる彼方。



あれ、なんか彼方が気を遣ってる?



なんか嬉しい……。




「多部先輩」




靴を履いていた彼方を、織くんが呼び止めた。



「――なに?緒方」



「この前はすみませんでした」



「え?いや、別に」




ちょっと目を泳がせる彼方。



ん?この前ってなんのことだろ?



2人とも、あたしの知らないところで会ったのかな。



なんか変な感じ。




すると織くんが彼方に笑った。




< 315 / 396 >

この作品をシェア

pagetop