甘い心はあなた一色
「織く、」
「んなこと言わなくても、いなくなるから心配すんなよ」
じゃあなーと手を上げる彼方。
あれ、なんか彼方が気を遣ってる?
なんか嬉しい……。
「多部先輩」
靴を履いていた彼方を、織くんが呼び止めた。
「――なに?緒方」
「この前はすみませんでした」
「え?いや、別に」
ちょっと目を泳がせる彼方。
ん?この前ってなんのことだろ?
2人とも、あたしの知らないところで会ったのかな。
なんか変な感じ。
すると織くんが彼方に笑った。