甘い心はあなた一色




《織side》




「俺、考えが変わりました。」



「考え?」



そういうと、多部先輩が驚いた顔で俺を見た。




そうだ、あのときとは違う。



もう多部先輩に対する妬みの気持ちは、ないんだ。



「……俺の目が届かないとこで、紗英子さんのことお願いします」



「え?」



「紗英子さんにとって、多部先輩は大切な存在ですから」




かけがえのない、幼なじみという名の大切な存在。



それは俺にとっての朱音と同じ。




そしてなにより――大切な紗英子さんの大切な人だから。




「それは、俺も同じです」



< 316 / 396 >

この作品をシェア

pagetop