甘い心はあなた一色




「へ、っち、ちょっと待って!」



赤くなった頬を隠そうとした手を、織くんに掴まれる。



「――待てない」



「んっ……」



再び唇が塞がれたら、もうなにも考えられなくなる。



織くんの指が、あたしの頬を撫でて。



優しく体を引き寄せられる。



……好きなの。



織くんのことが、誰よりも好きなの――。



唇が離されて、織くんが優しい瞳であたしを見た。




「紗英子さん」



「……ん、っ?」



「愛してる」





< 392 / 396 >

この作品をシェア

pagetop