シークレットガール
あたしは山吹から離れ、服を身に纏う。


「、、、拒めよ、リン」


山吹が何のことを言っているのかは、わかっている。


「罪を犯したら、償わなければいけない」

「それは、お前の罪じゃねぇだろ」

「償う人間が居ないなら、誰かが償わなければいけない」


あたしは山吹を見る。


「そろそろ、行かないと。柚が帰ってくる日だから」

「、、、あぁ」


あたしは山吹に背を向け、ホテルを後にした。


もう痛みなどないはずなのに、何故か左肩の傷が疼いた気がした。


それは、あたしの心の叫びだったのかな?


あたしは左肩をギュッと掴み、その痛みを誤魔化した。


そして柚が待つ家へと、急いだ。

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