シークレットガール
家に着くと、柚がはもう帰って来ていた。


「リン」


そう言い、笑顔を見せる柚。


「ごめん、遅くなって」


柚と目線を合わせるために、あたしは屈む。


柚は、事故をきっかけに車椅子生活を余儀なくされた。


「せっかく帰ってきたのに、リンまで居なかったら帰ってくる意味ないじゃん」


子供のように膨れる柚に「ごめんね」と、もう一度謝る。


普段、柚は施設で暮らしている。


そして、土日になればこの家へと帰ってくる。


家と言っても、暮らしているのはあたしだけ。


あの男も、楓も、椿も、みんな別々な場所で暮らしている。


あたしと柚がこうやって生活するようになったのは、あたしが日本に帰って来てからだけど、、、

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