シークレットガール
「リン」


山吹がベッドに近づいて来る。


山吹の顔を見て、柚の顔が浮かんだ。


そして、ギュッと胸が苦しくなった。


山吹が次に、何を言うかが大体予想がつく。


「何があった」


真っ直ぐにあたしを見る、山吹。


その瞳から視線を逸らしたくなる。


「逃げることを許さない」と、瞳が語っている。


でも山吹の悲しむと思ったら、あたしは何も言えなかった。


山吹は、柚の父親だ。


それを、山吹も柚も知らない。


そのことを知っているのは、あたしとお母さんだけ、、、


みんな、勘違いしてるんだ。


あたしが山吹の娘だと、、、


あたしだってお母さんから聞くまで、山吹が本当の父親だと思ってた。

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