シークレットガール
『リン!!!』


焦ったようにあたしの名前を呼ぶ、お母さん。


振り返った時には、お母さんがあたしを抱き締めていた。


そして、、、


__ドンッ__


賑やかだった周囲が、一気に静かになる。


何が起きたのか、わからなかった。


目の前には血だらけでぐったりしている、お母さん。


耳には柚の異様な鳴き声が聞こえてくる。


『救急車!!』


遠くで、知らない人がそう言っている。


『マ、、、マァ?』


今にも消え入りそうな声で、お母さんのことを呼んだんだ。


『リン、、、。ママは大丈夫だから、、ね』


そう言って居たけど、あたしの目には全然大丈夫そうには見えなかった。

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