シークレットガール
『リン』


お母さんはあたしを落ち着かせるように、優しくあたしの名前を呼ぶ。


『リンには、、、ちゃんと話さなきゃね』


途切れ途切れに話すお母さんは、相当苦しかったんだろう。


『リン、ごめんね』


お母さんは急に、あたしに謝る。


『リンじゃないの、、、柚なの』


こんな時に、お母さんは何をあたしに伝えようとしているんだろう。


あたしはお母さんの言葉に耳を傾けた。


『山吹の子供は、リンじゃなくて、、、柚なの。ごめんね、リン。辛い思いさせて、、、』


そう言って、あたしのことを強く抱き締めた。


『リンなら、わかるでしょ?ママの宝箱?』


お母さんの宝箱、、、


確かに、あたしはその宝箱がある場所を知っている。

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