シークレットガール
ゆっくりと、視線を目の前の男に向ける。


目の前の男もあたしのことを見ていたせいで、視線が交わる。


「覚悟は決まったのか?」


想像していた言葉とは違う言葉を向けられ、困惑する。


「、、、覚悟?」

「あぁ。警察の人間になる、覚悟だ。ここはお前の言うとおり、真っ黒だ。何が正義かなんてわからなくなるのなんて、一瞬だ。一瞬でも上を見た時に、自分の野心が出てくる。その野心が正義を曇らせる」


この人は、何を言っているのだろうか?


あたしは視線を逸らすことをせず、見続ける。


「下に居る時は、上の人間に踊らされる。だから、上の人間になって自分が思う正義を貫こうと思う。だけど上の人間になった時、その正義は曇らされている」

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