シークレットガール
「リン」


仕事で話す時に、この男はあたしのことを名前では呼ばない。


と、言うことは、今から話そうとしてることは仕事のことではないのだろう。


「はい」

「今日、警視庁から1人警部が移動してくる」


あたしは疑問に思い、男の顔を見る。


だって、さっき男はあたしのことを「リン」と呼んだ。


なのに、男が今話していることは、どう考えても仕事の話だ。


「迎えに行ってやれ」

「迎え?」


警部ってことは、あたしより下の立場の人間だ。


そんな相手をどうしてあたしがわざわざ、お出迎えなんてしなければいけないのだろうか。


「お偉いさんの子供なんですか」

「いいや。でもお前は会う義務があると、わたしは思うがな」

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